贈与FAQ
贈与についてよく頂戴する質問
Q.相続時精算課税制度を利用する場合の注意点は?
A、
①相続時精算課税制度を選択すると暦年課税を使うことができない
長期にわたって贈与を受ける場合には、暦年課税のほうが得になる場合があるので注意が必要です。
②小規模宅地等の特例の適用ができない
相続時精算課税を利用するとこの特例が適用できなくなります。自分が住んでいる土地などを贈与しようとする場合には注意が必要です。
③相続時に課税される
相続時精算課税制度は贈与時には贈与税がかからなかったとしても相続時には、贈与を受けた財産を相続財産に加算することになります。
Q.結婚20年以上の夫婦が対象の贈与税の配偶者控除とは?
A、
夫婦間で居住用不動産(自宅など)を贈与する場合は、「贈与税の配偶者控除」という特例を受けることができます。
この特例は結婚して 20 年以上の夫婦が対象です。 (※同じ配偶者間では 1 回しか適用できません。)
①効果
自宅や住宅資金、土地などの居住用不動産を贈与するときに限って、2,000 万円が控除され、110 万円の基礎控除と合わせると 2,110 万円までは非課税になります。
②注意点
土地の名義変更にともなう諸費用がかかるため、費用をかけてでも配偶者に贈与したほうが有利になるかどうか、事前に相続税の確認をしておきましょう。
Q.結婚・子育て資金贈与とは?
A、
子や孫に結婚、出産、子育ての資金としての費用を一定額まで非課税で贈与できる制度です。
①効果
結婚・子育ての支払いに充てるため、直系尊属から贈与を受けた場合、金銭等のうち1,000万円(うち結婚式等の費用は300万円)までの金額については、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になります。
対象は、結婚に際して支出する婚礼費用、住宅費用、出産・子供の医療費、保育料等です。
②注意点
結婚・子育て資金贈与を行う際は下記の3つに注意しましょう。
・金融機関で手続きが必要
・50歳時の残高はその年の贈与税の課税対象になる
・50歳満了時までに贈与者が亡くなった場合、残高は相続税の課税対象になる(相続税の2割加算はない)
Q.子や孫に対する教育資金一括贈与とは?
A、
教育資金贈与とは、子や孫などに対して教育資金を贈与する場合、一定額までが非課税になる制度です。
①効果
受贈者30歳未満の方の教育資金に充てるため、直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けた場合、信託または金銭等のうち、1,500万円(うち学校等以外は500万円)までの金額については、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になります。
対象は、学校の入学金や授業料・習い事・塾代、通学定期代や留学渡航費等です。
②注意点
教育資金の一括贈与を行う際は、下記の2つに注意しましょう。
・金融機関で手続きが必要
・30歳時の残高はその年の贈与税の課税対象になる
Q.現金を手渡しすれば、贈与税の申告漏れがばれないのでは?
A、
たしかに、振込や不動産の名義変更と違って、現金の受け渡しについては税務署も発見しにくいことは確かです。
ところが、事実として贈与税の税務調査は毎年行われています。現金贈与を受けた数年後に、何の前触れもなく税務調査が行われることもあるのです。
なぜなら税務署は、課税につながる情報を常に収集しており、「贈与があったのでは?」という仮定が立てば税務調査を行っているからです。
税務署が贈与を把握するきっかけのひとつが、「お尋ね」と呼ばれる文書です。お尋ねとは、税務署から送られるアンケート用紙のようなもので、回答を記入して期日までに税務署に返送する仕組みになっています。
お尋ねには複数の種類があり、その一つに、不動産を購入した個人に送られるものがあります。税務署が不動産の名義変更の情報などをもとに対象者をピックアップして送付しているものです。
このお尋ねの回答項目の中に、「支払金額の調達方法」があり、物件の購入費をどのように用意したかを詳細に記載するようになっています。自分名義の預貯金から支払ったのか、家族名義の預貯金から支払ったのか、ローンを組んだのか、贈与を受けたのか、といった情報を記載します。
これらの情報を参考にして、税務署は贈与税の申告が必要なのか、必要であれば適切に申告が行われているのかを確認します。そして、贈与税の申告漏れが疑われる場合には、税務調査により本人に話を聞くといった対応をすることになります。
Q.贈与税無申告のペナルティーは?
A、
申告期限までに申告をしていなかった場合、無申告加算税が課される可能性があります。無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分に対して20%の割合で加算されるものです。
申告をしなかったことについて、書類を偽造するなどの不正行為があった場合は、無申告加算税に代えて、さらに税率が高い重加算税が賦課されるおそれもあります。たとえば税務署から送付されたお尋ねに対して、虚偽の回答をして申告を免れようとした場合などは、最高で50%もの割合で重加算税が賦課される可能性もあるのです。
このほか、納税をしていなかったことに対するペナルティも別に設けられています。こちらは延滞税と呼ばれるもので、法定納期限の翌日から、完納するまでの日数に応じて加算されます。贈与税の申告だけでなく、納税も適切に行う必要があるということを覚えておきましょう。
Q.贈与税の時効は?
A、
贈与税の時効は原則6年、脱税目的で贈与を隠すなど故意に申告しなかった場合には7年に延長されます。
贈与の事実があった場合には上記の期間で時効が成立しますが、そもそも贈与ではないとされてしまった場合には当然時効もありません。
贈与は財産をあげる、もらうというお互いの意思が無いと成立しません。
例えば、親が子名義の預金口座に勝手に貯金をしていた場合にはもらう側の意思がありませんから贈与ではありません。親側が贈与のつもりであったとしても贈与の事実はありませんから、時効も無いということになります。
Q.気付かずに贈与税課税対象になる場合とは?
A、
1、財産を安く譲ってもらった場合
親が持っている財産を安い値段で譲ると、贈与税の対象になるかもしれません。
例えば500万円の価値があるアート作品を、10万円でで子供に譲ったら、差額の490万円が贈与税の対象になる可能性があります。
ただし子供が借金の返済に困っているなど特殊な状況であれば、返済金額分は贈与税の対象にならないこともあります。
各個人の状況によっても異なるため、不安な人は事前に弁護士・税理士へ相談しておくのがおすすめです。
2、親が負担していた生命保険を受け取る場合
親が保険料を払っている生命保険を、親が生きている状況で、子供が受け取ると贈与税の対象になるかもしれません。
なぜなら「親が積み立てた財産を子供が受け取る」と認識されるからです。
親が死亡したり、ケガ・病気などの理由があれば、非課税になる可能性もあります。
3、教育・生活用の贈与を目的に使わなかった場合
教育・生活費の贈与は、基本的に贈与税の対象外になります。
ただし親からもらったお金を教育費・生活費として使わずに、他の目的に使ったとしたら、贈与税の対象になるかもしれません。
教育・生活費の贈与であれば、しっかり使い道まで確認しておきましょう。